筆者が愛してやまない漫画作品「おやすみプンプン」。
物語も好みドンズバなんですが、登場するキャラクターも非常に魅力的。
その中でも存在感放ちまくりのヒロイン「田中愛子」。
おやすみプンプンを語る上では欠かせない存在。
今回はそんな愛子ちゃんの魅力を考察していきます!
おやすみプンプンとは?
「ソラニン」等を生み出したことで有名な「浅野いにお」の作品です。
浅野いにお作品の中でも最も巻数が多い作品です。
どんな物語なのか
主人公プンプンの、
小学生時代からの成長を描いていく漫画です。
両親が離婚したり、母親が死んでしまったり、引きこもりになったとプンプンは波乱に満ちた人生を送ります。
ありがちな日本の家庭や社会をユーモアや皮肉たっぷりに見せつけられる作品です。
欝なストーリー展開だけではなく、演出も斬新で面白い作品。
どこにでもあるような街のどこにでもいそうな少年、「プンプン」の人生の波乱を描いた作品。この作品の大きな特徴に、主人公である「プンプン」やその家族、親戚のみ“落書きのようなヒヨコ”の姿で描かれており、その名前に加え、周りの人物や情景などの高い描写力からは浮いた存在となっている。加えて、作品内でコラージュ的な表現を用いたり、一部の人物に話の進行とは無関係な奇行を描いたりと、実験的なシュルレアリスム表現がみられる。作家の伊坂幸太郎が単行本の帯に「前衛でありつつ王道を走り抜ける」と寄稿している。
wikipedia
田中愛子の生い立ち
愛子ちゃんを語る上で、まず彼女の生い立ちをまとめます。
愛子ちゃんは幼い頃両親が離婚し、母親のもとで暮らしているのですが、このお母さん、宗法人コスモさん健康センターの熱狂的な信者。
そのせいでまわりの人たちに変な目で見られます。また、後々明らかになっていくのですがお母さんに虐待もされています。
こういった環境って漫画の世界だけでなくてよくあることですよね。小学校の同じクラスに似たような境遇の子がいるなんてのも。
筆者が思うに、こういった家庭の環境があまり良くないっていうのは大人になってからも性格として表れることが多いですよね。なんでわかるかって筆者もそのような感じだからです。
どこに行っても変な目で見られ、友達もまともに出来ない。
そんな時、新しい転校先で出会ったプンプンと仲良くなり、二人は両思いになります。
この辺は非常に微笑ましいのですが…。
愛子ちゃんはプンプンを誘って二人で夏休みに鹿児島へいこうと誘います。鹿児島にはおじさんがおり、医者でもあり宗教にもハマっていないからと。
それほど愛子ちゃんは母親と自身の境遇から抜け出したかったのです。こんな辛い思いをしながら小学校時代を過ごしたら性格も歪んでいくのも納得です。
しかしプンプンは愛子ちゃんの鹿児島へ行く約束を破ってしまいます。
プンプンと愛子ちゃんが中学生に
二人は小学生の気まずい雰囲気のまま中学生になります。愛子ちゃんはプンプンと同じバトミントン部のイケメン爽やか矢口先輩と付き合います。
プンプンは自分なんかよりやっぱりカッコ良くて人気な矢口先輩といるのが幸せそうだと自分の気持ちを押さえつけて納得しようとします。
しかし、ある時に愛子ちゃんと偶然、話をするタイミングが訪れます。そこで彼女は言うのです。
矢口先輩は周りにも恵まれてキラキラしている。辛い環境で過ごしている私とはやっぱり価値観が合わないと。
この辺の演出が思春期の男女をよく表現していてとても良かったです。中学生の男子なんて頭の中は女の子でいっぱいです。やましいことに。
しかし女性の成長は早いというか、愛子ちゃんは既に達観しており、言うことも真理をズバリと突いてきます。
そこで再び愛子ちゃんはプンプンに鹿児島に行こうと持ちかけます。
そうです、愛子ちゃんはずっとプンプンを思っていたのです。
だがここで再び断るプンプン。いろんな感情が錯綜していました。
結局、愛子ちゃんは矢口先輩とも別れ、プンプンと愛子ちゃんは疎遠のまま中学を卒業します。
プンプンと愛子ちゃんが大人に
お互い、いろいろなことがありながら大人になっていきます。
なんと、自動車教習所でプンプンと再会します。最初はお互いを偽って会う二人ですが、
(愛子ちゃんはプンプンにモデルをしていると嘘をついていた)3回目のデート?で本当の姿をうちあけます。
ここでついにプンプンはあの日の約束を果たそうとするのです。
愛子ちゃんの誘いを断った呪いにかかっていたプンプンはずっと愛子ちゃんを引きずりまくって生きてきました。
そしてあの時の約束が動き出し、二人はとんでもない展開に進んでいってしまうのです。
愛子ちゃんの魅力
おやすみプンプンの物語と愛子ちゃんの境遇をおさらいしました。
既に愛子ちゃんの人生辛すぎ…と思っている方が多いと思います。
ではそんな愛子ちゃんの魅力を考察していきます。
愛子ちゃんの魅力:病んでいる
前述したとおり、愛子ちゃんはかなり複雑な環境で育ち大人になりました。
父親がいないということもあるのか、彼女は常に愛情に飢えているように見えます。
誰かと完全にわかりあいたい、綺麗で純粋な感情だけで埋め尽くしたいと。
家庭環境が複雑だとこういった思考が強くなると思います。求める癖に与えたり信頼することは非常に苦手である状態。
恋愛観もいわゆる「重い女」といった感じ。プンプンには今度裏切ったら殺すからとまで言っていますからね。
しかし彼女はプンプンにとにかくべったりです。プンプンのことが大好きで一緒にいるときは少女のようにはしゃぎます。
かと思えば憂いを帯びた表情をしたり、急に核心を突くようなことを言ったり。
存在自体がとても儚く見えます。力強く抱きしめた壊れてしまうのではないかと思ってしまうほど。
筆者はいわゆる陰の者よりな気質を持ちつつ陽キャなメンツにも囲まれた環境で育ったため、非常にプンプンと考え方や価値観が似ている部分があります。
そういうタイプの人間は愛子ちゃんみたいな女の子を一生引きずりますね。
これって秒速5センチメートルとも同じような感じだと思いました。
愛子ちゃんの魅力:ひたすらに一途
彼女はただただ一途です。小学生のときプンプンと両思いと知ったあの日から、ずっとプンプンを思い続けていたのです。
ただ一人の人と愛し合いたかった。彼女が望んだことはそれだけです。
たったひとりの人でもいいから完全にわかりあいたい、もしその夢が叶うならわたしはその瞬間に死んでも構わないと語った愛子ちゃん。
自殺する前、君と両思いになる夢がちゃんと叶った、こんな幸せなことってあるかな?と語った愛子ちゃん。
彼女は自殺する際、一番幸せな気持ちだったと思います。
両思いだとしてもそんな気持ちがいつか終わってしまうのではないか、壊れてしまうのではないか。
そんな恐怖もあったと思います。だからこそ彼女が死を選んだ気持ちも非常に納得できます。
【おやすみプンプン】愛子ちゃんの魅力を考察!なぜ彼女に引きこまれるのか まとめ
鬱展開が多く、暗い気持ちになりやすい作品である「おやすみプンプン」。
そんな作品ですが愛子ちゃんを見ていると癒される部分があります。大人になると欲など、綺麗な気持ちだけで生きていけない時があります。自分にも他人にも。
しかし愛子ちゃんは純粋で、ピュアなのです。ただ人と愛し合いたい、わかりあいたい。
その思いが非常に美しく、見ているだけで癒されます。
人とわかり合うことの難しさもこの漫画は教えてくれます。
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